新篇武蔵風土記稿

江戸幕府学問所編 八十冊

郡誌資料として第一等の材料也。 然れども書の成れるは今より八九十年前、文政年間に属すれば(出版は明治に至りて行はれ、其際些少の訂正はありたらんも)現今の郡制乃至町村制と稍異る所あり。 従て初見の人に向て地名の検出は多大の不便を感ぜしむ。 加之寺社等の記事細字にして読み易からず。 更に精細に之を吟味する時は記載の事実にも遺漏あり錯誤あり。 殊に活字の誤謬も亦少からざるが如し。 然れども郡誌資料として大体に於て全局を網羅し、而して其記事比較的正確精密也。