赤間川及蛍

赤間川は入間川町に於て入間川より分れ、奥富日東、大田、田面沢の四村を経て、 川越町に入る。 川の築造は松平伊豆守の時なりと云ふ。 川の付近古は螢の名所にして、其形甚だ大なるものを産し、或は数千百の螢、群をなし、一塊の巨火となりて空中に飛ぶが如く、或は散じて四方に消え、壮観を極めしこともありしと云ふ。 幕末の頃以来毎年川さらひと云ふことありて、腐草少く、従て螢も殆ど見えざるに至らんとす。 川の東崖、見立寺あり。 親塚稲荷あり。 風景不可ならず。