扇河岸は砂村の北に当り、新河岸川に沿へり、舟着の処なりしも近来は殆ど衰頽を極めたり。 東西二町、南北一町余に過きざる小村落也。 戸数二十に足らず。 土地の形扇に似たりしかば、扇河岸と称せりと云ふ。 正保の国図には見えず。 松平信綱、始めて舟着の地たらしめ、寛文二年、貞享二年、元禄六年、三度に検地を行はる。 武蔵野話には扇河岸より仙波に至る間冬夜炎火飛ぶとあるを記せり。 今は其事なし。
新河岸川に架せり。 長さ七間