上新河岸

上新河岸は村の東部に位し、戸数二三十に満たず。 元、寺尾村の地に属し、諏訪右馬亮が城蹟の地なりしを、荒廃せる後開墾して一村とせる也。 其開墾の年代は正保以後元禄以前の頃と覚し。 恰も此頃川越付近運送の便に供せんがために、河岸場を設くるあり。 依て新河岸と名け、次で上下の別を設けしと云ふ。 寛文二年四月二十四日建造せし石地蔵の後光には深田甚右衛門尉此河岸を開きしことを彫れりと。 村は常に川越城に属したりき。