来迎寺より、山に入り、少しく西北に赴けば、峯の薬師あり。鐘あり。音甚だよし。伝ふる者曰く。或人金を貯へて死せり。死に臨て頗る怨あり。乃ち亡霊出て、告げて曰く、某所に貯へたる金あり。以て鐘を作る可しと之に由て村人此鐘を鑄ると。