龍谷(りゅうがい)山は阿諏訪の東北に位し、古要害山と称す。登道十町余。老松枝条を交へ、山容亦尋常にあらず。東方は水田及毛呂川に臨み、山上の眺望甚だ壮大也。伝へ言ふ。往古阿弥和巳之助披砦を此山上に築けりと。
今も馬場の跡と称するを存し、近年まで土居の旧趾も僅に残りたりしと請ふ。兵燹の遺物として発出する炭米今尚泯滅せず。然れども其事跡詳ならず。山上に雷電神社あり。