宿谷

宿谷は村の南部に位せり。宿谷川あり。人家二十。山間幽谷也。

宿谷瀧

西南の渓間に瀧あり。高二丈半、上流は権現堂に出づ。瀧の付近樹木密生し、幽邃なる境致唯瞠塔の声を聞く。瀧の下流は即宿谷川にして、渓流水清く、石白し。瀧の傍に不動堂あり。修験妙覚院の所持なりき。妙覚院は笹井観音堂の配下なりし也。

宿谷氏に就て

宿谷村の開祖を宿谷氏と云ふ。宿谷氏武蔵七党児玉党に出て、鎌倉室町小田原に仕へて名を知らる。然れども今は徴録せりと云ふ。