入間川及伊佐沼

入間川は往古、今の赤間川の流域を流れたりしが如きと、既に述べたる所也。 伊佐沼の如きも、其名残にや。 今の河道をとれる後も、川は芳野村北境より、一直線に東流せず、菅間石田本郷より南流して、今の古川の水路を流れたりしが、年々の水患非常なりしを以て、延宝八年松平伊豆守信輝、石田本郷より直東に水路を開鑿し、為に旧水道は縮小したれども、依然古川として存せる也。

伊佐沼芳野村鴨田伊佐沼古谷村古谷上の間にありて、南北十七八町、東西三町、古は沼の中央に一大岩石ありて突出したりと云ふ。 泥深く、水浅く、鯉鮒の類を産し、又蓮菱等も少からず出づ。 風光も不可ならず。