南畑(なんばた)村は郡の東南部に位し、川越町を去ると約三里、大井村を去る一里半。 東は荒川を以て、北足立郡に境し、西は新河岸川を以て福岡、 鶴瀬、 水谷三村に境し(但鶴瀬との境には村地稍河西に突出せり)北は南古谷村、 南は宗岡村に連る。 其地域狭長、両河東西より圧するの趣あり。
地勢平坦にして、水田甚だ多し。 堀割二三条其間を走り、水門樋管の設多し。
川越志木街道は村内を縦貫し、別に南畑所沢街道、南畑大宮街道は此地より起て東北と西南とに向ふ。 川越へ遠く、所沢へ遠く、却て北足立郡志木町に近く、浦和へ出づるの便比較的大也。
土質は壌土にして頗る肥沃なり。 米の産出を大宗とす。 麦之に次ぐ。 水害の恐 大なるを以て、其堤防工事は世に著明也。 戸数五百六十三、人口三千四百四十六、 東大久保、 上下南畑及南畑新田の四大字より成る。