天覧山下に位し、寺地を勢至台と云ふ。中山家範が其父家勝のために建立せしものにして、天正初年に成りしものなるべし。寺背山上に家勝り影堂ありしも今は廃し其木像は本堂に安置せり。眉目魁秀襟度豁然面目躍如たるものありお云ふ。寺地幽静、昔時豪華の片影を粛条たる山寺の間に留めたり。武陽山と号し、曹洞宗龍ヶ谷龍穏寺に属す。末寺若干あり。