岩淵

岩淵は村の東端に位し、成木川に瀕せり。川の南岸盤岩の中腹に堂あり。岩井堂と云ふ。盤岩高さ五六丈、其下深淵也。村名は之より起りしならん。戸数八十。

八幡神社

入山にあり、創立年月不詳、元歓喜寺別当たり。明治四十年八月字岩井堂の無格社秋葉社を合祀す。秋葉は天明四年三月の創立也。

妙円寺

甲三ッ沢にあり、曹洞通幼涙、西多摩郡根ヶ布村小本寺天寧寺末、永正年間尼妙円と云ふもの村内に一の草廬を結び道を修すること十余年、後一宇の草舍を営み岩淵山妙円寺と称し、僧松岩を延て始祖とす、後天寧十四世了宝芸達を勧請し開山とす。

歓喜寺

岸高山福寿院と号す。中村にあり、慶安二年已丑八月二十四日字光八幡社領七石附与の受領状に歓喜寺六代法印僧真仮名頼音房と見ゆ、当時已に六代なりしを知る、八幡社領は明治四年上地せり。

岩井堂

字岩井堂にあり、真言新義派、歓喜寺に属す。口碑に村民岩崎氏祖先の縁者権大僧都法印大久院の創立なりと云ふ、地は成木川の深淵に枕せし南岸の一大岩石の半腹にして村名の起る所、頗る絶勝の地なり。

古墳

中村にあり。岩淵茂左衛門妻基墓及岩淵政輝の墓と称す。共に八坪許の塚にして、上に板碑を存せりと云ふ。