森戸

森戸萱方の南に位し、坂戸平沢間の街道に沿ふて人家一小宿駅の観をなせり。古は繁昌したりと覚ゆ。鎌倉街道は四日市場との境を走れり。

国渭地祇神社

宿頭にあり、元熊野神社と称し、延徳年中の再営なりとも云ふ。旧別当を大徳院と名く。川角村山本坊配下なりき近年熊野社を以て延喜式内国渭地祇社なりとするの説をなすものあり、依て社名を改めたるものゝ如し。境内樹木多く要するに古社なるに似たり。社の華表前は即ち旧鎌倉街道也。

鶴明神社

宿にあり。村社也。

田上神社

二階にあり。村社也。

熊野神社

鍛冶屋前にあり。村社也。

稲荷神社

台にあり。村社也。

無格諸社

八幡社(鍛冶屋)、稲荷社(二階)、同上(二階)、神明社(二階)。

西光寺

宿にあり。龍穏寺末也。大林山と号す。依て或は川角村大林坊を移したるものならんと謂へるものあり。寺侍によれば、慶長の頃より一小寺にして何宗たるやを明にせざりしも、寛文年間龍穏二十二世鉄心中興して曹洞宗の一寺となせりと称す。