中山

中山は飯能の東北に連り、人家宿駅の体を保ちて道の両側に並び、徳川氏時代の面影を留めたりと雖、今や甚だ振はず。

加治神社

元丹生社と称す。中山氏の氏神として勧請せる所也。社地は聖天社のありし処也。境内に八坂社、稲荷社等あり。

天神社

吾妻台にあり、境内広くして、琴平稲荷の諸社あり。

智観寺

上町にあり。元慶年中丹治武信の創建と称せられ、古寺なるが如し。境内に仁治二年三年及永仁六年の稍々大なる板碑あり。寺は中山氏の菩提寺にして、東に隣て其館跡あり。今や寺地館蹟共に古の面影なしと雖、堂に中山信吉の木像あり。風橋甚だ高邁也。寺地に其墓所あり。信吉は家範の二子にして水戸徳川頼房の傅として諤々の誉れ一世に高かりき。

玉宝寺

前田にあり。能仁寺末。寺の東方双柳村に近く殿藪と云ふ処は加治氏館跡也。

真福寺

下町にあり。智観寺末。